「保健室に来てくれたら渡します」だけでは、届かない子がいる
学校で生理になったとき、多くの子は保健室に行けば生理用品をもらえます。実際、養護教諭の先生方と話していると、みなさん口を揃えてこうおっしゃいます。
「保健室に来てくれたら、いろいろ教えてあげます」
その言葉に嘘はありません。ただ、私たちが586人の女子生徒(小学4年生〜高校3年生)にアンケートを取ったところ、見えてきたのは別の現実でした。
「困っていたら保健室に来るだろう」——そう考えている大人は少なくありません。
けれど、実際には行けない子がいるのです。
女の子たちが抱えている、こんな不安

私たちが養護教諭の先生方や生徒本人から聞いた話をまとめると、生理期間中の女の子たちは、勉強どころではないほど多くの不安を同時に抱えていることがわかります。
- ナプキンから漏れたらどうしよう
- ニオイが気になる
- ポーチを見られたくない(クラスの子にバレたくない)
- 男子にひやかされるかもしれない
- 保健室に行くこと自体のハードルが高い
- 保健室に行って授業に遅刻したらイヤ
- 遅刻した理由が言いにくいから、そもそも保健室に行かない
- 男子が保健室にいたら入りたくない
- 生理期間中は気持ちが落ち着かない、不安定になる
- 親に言いにくい
これだけの不安を抱えながら、椅子に座って授業を受けている——そう考えると、「保健室に来てくれたら」という前提そのものが、多くの子にとってどれほど高いハードルなのか、想像がつくのではないでしょうか。
実際、アンケートの自由記述には、こんな声も寄せられていました。
生理のとき保健室に行きづらくて、早退した
一つの選択肢としての「早退」。
これは、生理という体の状態が原因で、学ぶ時間そのものが奪われているということです。
なぜ「保健室での配布」だけでは不十分なのか
「うちの学校は保健室にちゃんと常備しているから大丈夫」——そう思われる先生も多いです。でも、私たちが伝えたいのは、常備の有無ではなく、そこに辿り着けるかどうかという問題です。
保健室に行くには、いくつものハードルを越える必要があります。
- 恥ずかしさを乗り越える
- 授業中なら「保健室に行きたい」と申し出る勇気を出す
- 教室を出るときの周りの視線に耐える
- 保健室にいるかもしれない男子生徒とすれ違う覚悟をする
- 戻ったときに「どこ行ってたの?」と聞かれたときの答えを用意する

大人にとっては些細なことに見えても、思春期の子どもたちにとっては、この一つひとつが「行かない」を選ぶ十分な理由になります。
個室トイレに置くだけで、変わること
私たちが学校トイレの個室に生理用品を設置する活動をしているのは、この「行けない」を「行かなくていい」に変えるためです。
個室にナプキンがあれば、
- 誰にも見られず、誰にも聞かれず、生理用品が手に入る
- 授業に遅刻する心配がない
- 「なぜ保健室に行ったのか」を説明する必要がない
- ポーチを見られる不安からも解放される
トイレットペーパーがトイレに当たり前にあるのと同じように、生理用品も当たり前にそこにある。それだけで、女の子たちが抱えていた不安の多くが、解消されていきます。

実際に設置した学校でのアンケートでは、個室にナプキンがあるだけで、生徒の不安定なメンタルがかなり改善されることが分かっています。これは私たちの活動の、一番の目的でもあります。
「貧困対策」ではなく、「安心して学べる環境づくり」
現場の養護教諭の先生方の多くは、この取り組みを「貧困対策」だと捉えています。でも、私たちが本当に伝えたいのは、それだけではありません。
トイレへの設置は、女の子たちが生理期間中も安心して学校生活を送れるようにするためのものです。
友達にも親にも生理のことを言いたくない子がいる。
保健室に行けない子がいる。
ポーチを誰にも見られたくない子がいる。
そういう、思春期特有の繊細な気持ちに寄り添う取り組みなのです。
まとめ:見えていなかった「行けない」を、見えるものに

「困っていたら保健室に来るだろう」という前提の裏側には、行きたくても行けない子どもたちの姿があります。
生理の貧困を考える会おきなわは、この見えにくい現実を、アンケートという形で数字にし、養護教諭の先生方との対話を重ねながら、学校・行政・地域の方々に伝え続けています。
個室トイレに生理用品を置く。たったそれだけのことが、子どもたちの安心につながります。
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こちらもチェック
・生理の貧困とは(”私たちについて”ページ内)
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