なぜ学校のトイレに生理用品を置く必要があるの?

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10分の休み時間に保健室まで往復するのは間に合わず、我慢してしまう

休み時間はたったの10分。教室から保健室までの往復だけで、その時間の多くを使ってしまいます。

特に、生理が始まる高学年は教室が3階以上にあることが多く、1階にある保健室に行くには、階段の上り下りだけでもかなりの時間がかかります。
保健室に着いた頃には次の授業のチャイムが迫っている——そんな状況では、我慢するという選択をしてしまう子が少なくありません。

現場の養護教諭の先生方はもちろん、校長・教頭、クラス担任の先生方にこの説明をすると、「そうか、確かに」とハッとされることがよくあります。
日々の忙しさの中で、生徒がどれだけの時間的制約の中で動いているか、改めて意識する機会は意外と少ないのかもしれません。

さらに、保健室に行けたとしても、もう一つのハードルがあります。

保健室に男子生徒がいると、生理用品をもらいたいと言い出しにくい、という声です。他の生徒の目がある中で「生理用品をください」とは、なかなか言えるものではありません。

加えて、保健室に行っても養護教諭が離席している場合もあります。せっかく勇気を出して行っても、誰もいなければ手ぶらで教室に戻るしかありません。

こうした一つひとつの障壁が重なって、「保健室に行けばもらえる」という仕組みが、実際にはうまく機能していない場面が生まれています。

トイレットペーパーは当たり前にあるのに

学校のトイレには、トイレットペーパーが当たり前に置かれています。誰かに申し出る必要もなく、当然そこにあるものとして。

でも、生理用品はどうでしょうか。多くの学校で、生理用品は「自分で用意するもの」もしくは「保健室に行けばもらえるもの」として扱われています。

私たちがずっと問いかけてきたのは、こんなにシンプルな疑問です。

生理用品も尿や便と同じ生理現象であることを考えると、トイレットペーパーがどこのトイレにも当たり前にあるのに、ナプキンは自分で持ってこないといけないのはなぜか?

トイレットペーパーがなかったら、多くの子どもたちは「ぐるぐる巻きにして対処する」しかありません。
それでも、いつ漏れるか分からない不安を抱えたままです。生理用品がない状態というのは、まさにこれと同じことが起きているのです。


これは「貧困対策」ではない

私たちが学校のトイレに生理用品を設置してほしいと伝えるとき、必ずお伝えしていることがあります。

学校のトイレに生理用品を設置してほしい理由は、貧困対策ではないということです。

もちろん、経済的な事情で生理用品を買えない家庭があるのは事実です。けれど、私たちが本当に伝えたいのは、もっとシンプルなことです。

女の子たちが、生理期間中も安心して学校生活を送れるようにするため。

急に生理になって、保健室に行けない。でもナプキンがない。そんな子どもたちが、実際にいます。
私たちが行った586人アンケートの自由記述には、「仮病を使って帰った」という声がいくつも寄せられました。

これは、教育的損失です。授業を受けられたはずの時間が、生理という体の状態を理由に奪われている。トイレに生理用品があれば、それだけで解決できることなのです。


「生理の貧困」は、経済的貧困だけじゃない

「生理の貧困」という言葉を聞くと、多くの方が「生理用品を買うお金がないこと」だとイメージします。でも、私たちが考える生理の貧困は、それだけではありません。

経済的な貧困——生理用品を買えない、買いにくい環境。

知識の貧困——生理の仕組みや対処法を、家庭や学校で十分に教わらないまま思春期を迎えること。

情報の貧困——支援制度や相談窓口があっても、その情報にたどり着けないこと。

この3つのうち、どれか一つだけでも、子どもたちの学校生活に大きな影響を及ぼします。


知識がないことは、偏見につながる

なぜ「知識の貧困」をこれほど重要視しているのか。それは、知識がないことが、そのまま偏見につながるからです。

ある学校で、校長先生からこう言われたことがあります。

「ナプキンをトイレに設置したら、カビが生えないの?」

生理用品について正しい知識がないと、こうした誤解が生まれてしまいます。そしてこれは、校長先生個人の問題ではありません。多くの学校で「生理のことは男子生徒には関係ない」という考え方があり、結果として、生理に関する知識が乏しいまま大人になる人が生まれ続けています。

知識の貧困、情報の貧困の状態は、差別や偏見につながる——私たちはそう考えています。だからこそ、正しい知識を、性別に関係なく学んでほしいと願っています。


トイレットペーパーと同じように

私たちが目指しているのは、特別な支援でも、貧困対策でもありません。

トイレットペーパーが当たり前にそこにあるように、生理用品も当たり前にそこにある。ただ、それだけの社会です。

今はまだ、学校に設置サポートに伺うと感謝されることがほとんどです。でも、何年か先には、「わざわざお礼を言うようなことではない」——そんな、当たり前の風景になってほしいと願っています。


まとめ

トイレットペーパーと同じ扱いを、生理用品にも。この一見シンプルな問いかけの中に、経済・知識・情報という3つの貧困と、そこから生まれる偏見の問題が詰まっています。

生理の貧困を考える会おきなわは、こうした「当たり前」を一つひとつの学校に届けるため、今日も活動を続けています。

生理の貧困を考える会おきなわ 代表 與儀育子(よぎいくこ) 「トイレットペーパーと同じように、生理用品も当たり前に」を合言葉に、沖縄の学校トイレへの設置サポートを続けています。

與儀育子(よぎいくこ)
生理の貧困を考える会おきなわ 代表

元製薬会社MRとして17年のキャリアを経て、2021年に本会を設立。
「トイレットペーパーと同じように、生理用品も当たり前に」を合言葉に、沖縄の学校トイレへの設置サポートを続けています。

與儀育子(よぎいくこ)
生理の貧困を考える会おきなわ 代表

元製薬会社MRとして17年のキャリアを経て、2021年に本会を設立。
「トイレットペーパーと同じように、生理用品も当たり前に」を合言葉に、沖縄の学校トイレへの設置サポートを続けています。

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